カスタマーサクセス代行

SaaSの解約率を下げるには?原因の分析と改善施策

顧客の利用傾向を示す資料を確認し、継続支援について話し合う二人の担当者
カスタマーサクセス業務のイメージ

解約率が上がったとき、すべての顧客への連絡を増やしても、原因が解消するとは限りません。初期設定が進まない顧客と、機能不足で離れる顧客では必要な対策が違います。まず数値の定義を揃え、どの顧客が、いつ、何を理由に離れたのかを整理しましょう。

この記事のポイント

顧客数の解約率と売上の減少率を分け、契約時期・顧客規模・利用段階ごとに原因を探ります。兆候の検知だけで終わらせず、担当者・対応期限・検証方法まで決めることが改善の出発点です。

この記事の目次
  1. 顧客数と売上の解約率を分ける
  2. 全体平均の前に、顧客群を分けて見る
  3. 解約理由を、行動できる粒度にする
  4. 兆候と対応をセットで設計する
  5. 限られた時間で改善するための優先順位
  6. 施策の効果を確かめる
  7. よくある質問
01

顧客数と売上の解約率を分ける

指標基本的な計算分かること
顧客数の解約率期首顧客のうち期間中に解約した顧客数 ÷ 期首顧客数 × 100顧客がどれだけ離れたか
グロス売上解約率期首顧客の解約・減額によるMRR減少 ÷ 期首MRR × 100既存の継続売上がどれだけ失われたか
ネット売上解約率(解約・減額MRR − 増額MRR)÷ 期首MRR × 100既存顧客の増額を含めた売上の変化

MRRは月次の継続売上です。売上解約率には新規顧客の売上を混ぜず、同じ期首顧客群の変化を追います。ネット値は既存顧客の増額が大きいとマイナスになるため、顧客離脱がなくなったことを意味しません。

参考・出典:StripeのRevenue churn解説(2026年10月2日確認)

以下は計算例です。月初100社のうち3社が解約した場合、顧客数の月次解約率は3%。月初MRR500万円に対し、解約15万円・減額5万円・増額30万円なら、グロスは4%、ネットは−2%です。これは実績や目標水準を示す数字ではありません。

当月契約・当月解約、休止、再契約、年額契約の月割りなどの扱いも定義書に残します。ツールごとに算定方法が異なる場合があるため、同じ名前の指標でも分母と対象期間を確認してください。

02

全体平均の前に、顧客群を分けて見る

切り口確認すること
契約開始時期特定の月に入った顧客の離脱が多いか
利用段階初期設定前・定着後・更新前のどこで離れるか
規模・プラン小口の件数が多いか、大口の売上影響が大きいか
獲得経路・契約時の期待商談時の説明と実際の機能に差がないか
利用目的特定の用途だけで成果が出にくくないか

同じ時期に利用を始めた顧客群を追う分析を、コホート分析と呼びます。契約から30日後、90日後など同じ経過期間で見ると、古い顧客と新しい顧客を混ぜずに比較できます。少数の群では1社の動きが大きく影響するため、割合と件数を併記しましょう。

03

解約理由を、行動できる粒度にする

「価格が高い」という回答だけでは、値引きが適切か判断できません。予算が削減されたのか、期待した成果が出ていないのか、利用者が減ったのかを分けます。担当者の推測と、顧客が話した事実も区別して記録します。

原因の例確認する情報対策の方向
初期設定が難しい止まった工程と未完了日数設定手順を絞り、初回実行を支援
価値を実感できない導入目的、実施した業務、結果成功条件を再合意し、活用方法を調整
必要な機能がない必須業務と代替可能性製品担当へ連携し、対応可否を明確化
担当者が不在・異動運用責任者と引き継ぎ状況新しい窓口と運用手順を再設定
予算・組織の変更事業方針と継続可能な範囲プランや契約条件を社内判断へ連携
支払い失敗決済状況と顧客の利用意向請求担当と連携し更新方法を案内

複数の理由がある場合は主因と補助要因を残します。解約理由の聞き取りを引き留めだけに使わず、今後の営業説明や導入手順の修正にも活用してください。

04

兆候と対応をセットで設計する

観測する兆候の例最初に確認すること対応例
主要機能の利用が減った季節性、休業、計測不具合の有無業務の変化を聞き取り活用方法を調整
初期設定が停滞顧客・自社のどちらで止まっているか準備作業を小分けにし期限を合意
窓口から返信がない担当変更や連絡先の誤り事前に合意した別窓口へ確認
不満や同じ質問が増えた未解決の原因と対応履歴責任者を決め回答・改善を追跡

「7日ログインがない」などの一律基準は、月に一度使う製品には合わないことがあります。利用頻度や顧客の業務に合わせて閾値を設定し、実際に解約へつながったかを後から見直します。ヘルススコアは優先順位をつける材料であり、顧客の状態を断定する答えではありません。

05

限られた時間で改善するための優先順位

売上影響が大きく、自社が変えられる原因から着手します。たとえば初期設定の同じ工程で多くの顧客が止まっているなら、個別連絡を増やす前に手順そのものを直す価値があります。

  • 影響:何社に起き、どの程度の継続売上に関わるか
  • 改善可能性:自社で原因を変えられるか、顧客事情が中心か
  • 実行負担:誰がどれだけの時間で取り組めるか
  • 検証可能性:改善したかを何で、いつ判断できるか

カスタマーサクセス代行は、定期的な状況確認や面談、記録、停滞顧客へのフォローを補う方法になります。一方、機能開発や価格方針は社内の意思決定が必要です。代行先が集めた声を開発・営業へ戻す担当者を決めておきます。

06

施策の効果を確かめる

施策前後で全体の解約率が下がっても、顧客構成や契約更新の時期が変わった影響かもしれません。可能なら開始条件が近い顧客群を比較し、難しい場合は同じ開始月の顧客群を継続して観察します。

段階見るもの
実施直後対象者へ支援が届いたか、未対応が残っていないか
利用の変化設定完了・主要行動・顧客の課題が変わったか
更新時期対象群の継続と売上がどう変わったか
費用との比較維持できた利益に対して支援工数が過大でないか

値引きで更新が増えても、収益が落ちていれば十分な改善とは言えません。解約率と合わせて売上減少・増額・支援コストを確認します。成果の出た支援を手順書に残し、対象を少しずつ広げてください。

07

よくある質問

解約率は何%を目標にすべきですか?

契約期間、単価、顧客規模、月次か年次かで意味が変わります。外部の数字だけで一律に決めず、自社の過去値と条件の近い顧客群を基に目標を設定します。

解約しそうな顧客全員に電話すべきですか?

まず兆候の確からしさと原因を確認します。操作案内で解決できる顧客、技術対応が必要な顧客、経営事情による顧客では、適切な対応が違います。

ネット売上解約率がマイナスなら安心ですか?

既存顧客の増額が減額を上回っていますが、一部の大口顧客への依存や顧客数の減少が隠れる場合があります。グロス値と顧客数も確認します。

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この記事の発行元
株式会社リベラルハーツ

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