インサイドセールスの商談化率が合わないとき|獲得月別の集計表と照合手順

マーケティングの表では商談化率10%、営業の表では20%。どちらかが誤りとは限りません。リードを獲得した月と商談が発生した月を混ぜると、同じ活動でも異なる数字になります。本記事は、改善施策そのものではなく、比較できる集計表を作る担当者向けの実務手順です。
月内に発生した商談件数と、同じ獲得月のリードが商談に進んだ割合を別表にします。対象ID、初回獲得日、初回商談設定日、初回実施日を保存し、同じ観測期間で照合すると数字の差を説明できます。
商談月の実績と獲得月の成果を分ける
月次の稼働管理では「今月何件の商談を作ったか」が必要です。一方、獲得施策の評価では「その施策で獲得した対象が、その後何件商談化したか」を見ます。目的が違うため、一つの表で兼用しない方が整理しやすくなります。
| 集計 | 数えるもの | 用途 |
|---|---|---|
| 商談発生月別 | 対象月に初めて設定された商談。過去獲得の対象も含む | 営業の活動成果・処理量 |
| リード獲得月別 | その月に獲得した対象が一定期間内に商談へ進んだ件数 | 流入施策・対象群の評価 |
例えば10月獲得100件のうち10月に10件が商談化し、9月以前の獲得分からも10月に10件が商談化したとします。10月の商談発生数は20件ですが、「10月獲得分の商談化率」を20÷100=20%とは計算できません。分子に別の母集団が入るためです。これは説明用の仮定です。
CRMのレポートも、登録日・ステージに入った日・活動日のどれを絞るかで対象が変わります。HubSpotの公式手順もステージ間の転換を扱っています。自社の画面で、日付フィルターの対象項目を先に確認してください。
元データは一対象一行、日付は別々に残す
見込み客を人物単位で集計するならコンタクトID、企業単位なら企業IDを使います。途中で単位を変えないよう、レポート上部に明記します。初回商談化を測る表では、同じ対象の再商談を新規の商談化として増やしません。
| 列 | 記録例・意味 |
|---|---|
| 集計対象ID | L-001。同名やメール変更があっても追跡するキー |
| 初回獲得日時・流入元 | 問い合わせ、資料請求など。後の再訪と区別 |
| 初回商談設定日時 | 日程に合意した日時。予定される開催日時ではない |
| 初回商談実施日時 | 実際に実施した日時。未実施は空欄 |
| 状態・除外理由 | 進行中、停止、対象外、重複など |
| 観測終了日・抽出日時 | 何日までの変化を反映した表か |
単なる空欄を「商談なし」と確定しないことも重要です。未入力なのか、まだ商談化していないのかを確認し、入力遅延がある場合は件数を別記します。獲得日時を再インポート日で上書きすると過去の母集団が変わるので、取込日とは分けます。
獲得後30日など、同じ長さで比較する
コホートとは、同じ時期などの条件でまとめた対象群です。ここでは獲得月ごとの集団を指します。仮に「獲得日時から30日以内の初回商談設定」を測る場合、30日経過した対象だけで確定版を作り、未経過分は速報として分けます。30日は推奨平均ではなく、自社の検討期間に合わせる例です。
| 獲得月 | 対象数 | 30日以内の商談設定 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 8月 | 100件 | 20件/20% | 全対象の30日が経過 |
| 9月 | 100件 | 15件/15% | 全対象の30日が経過 |
| 10月 | 80件 | 現時点で8件 | 観測中。確定率と比較しない |
この表は、9月の最終獲得分も30日を経過した時点を想定した架空例です。率を出す式は「同じ対象群の30日以内商談化件数÷その対象群の件数」。分母が0なら0%とせず、計算対象なしと表示します。商談実施率を測る場合は、分子のイベントを初回実施へ変え、設定率と別の列にします。
重複・日程変更・対象外の扱いを固定する
| ケース | 処理 |
|---|---|
| 同じ人が資料を2回請求 | 人物単位なら1件。再請求は活動として保存 |
| 商談が翌月へ延期 | 設定日時は保持。予定日時だけ更新 |
| 商談をキャンセル | 設定済みの事実は保持し、実施数には含めない |
| 後から対象外と判明 | 全獲得ベースでは残し、適合対象ベースを別表にする |
| 複数人が同じ会社から流入 | 人物単位・企業単位を分け、合算しない |
| 月次締め後に入力漏れ判明 | 訂正版の版・差分件数・理由を保存 |
営業対象外を分母から除けば率は上がりやすくなります。除外が悪いわけではありませんが、全獲得数、除外数、対象数を併記し、都合のよい対象だけ残していないか確認します。
CRMとレポートをIDで照合する
- 同じ抽出時刻・タイムゾーンで、両方の対象ID一覧を用意します。
- 片方にしかないIDを抽出し、重複、獲得日、対象外条件の違いを調べます。
- 共通IDの商談設定日・実施日を照合し、更新日を誤って使っていないか確認します。
- 差の理由を「母集団」「イベント定義」「期間」「入力遅延」に分類します。
- 定義を修正した後、同じデータで再集計し、担当者同士で件数を確認します。
会議で共有するのは率だけでなく、分子/分母、観測期間、未確定件数、前回からの変更点です。「今月の商談20件」「獲得月別の30日商談化率15%」のように名称も分けると、達成件数と改善率を取り違えにくくなります。
集計条件を揃えてから、商談化率の工程別改善へ進みます。数字の不一致を解消しただけで、営業成果が改善したとは判断しないでください。
参考資料:HubSpot:カスタムファネルレポート(2026年10月17日確認)。本記事の記入例・数値は説明用の仮定であり、顧客事例や成果保証ではありません。運用手順は自社の条件に合わせて調整してください。
LIBERAL HEARTS / SALES SUPPORT
営業の運用と実行体制を見直したい方へ
インサイドセールスや新規開拓の実行体制を見直したい方へ。リベラルハーツの総合営業支援の対応範囲をご確認ください。
総合営業支援を見る