深耕営業(既存顧客深耕)とは?売上を伸ばす実践アプローチを解説
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最終更新日:2026.07.28
「深耕営業(しんこうえいぎょう)」とは、既に取引のある既存顧客に対して、追加提案やクロスセル・アップセルを通じて取引額や取引範囲を拡大していく営業手法のことです。新規開拓に比べて成約までのハードルが低く、既に構築された信頼関係を土台にできるため、限られた営業リソースで効率的に売上を伸ばせる手法として、近年多くのBtoB企業が注力しています。
一方で、「既存顧客だから安泰」と考えて営業活動を後回しにしてしまい、気づけば競合に取引を奪われていた、というケースも少なくありません。深耕営業を成果につなげるには、顧客理解を深め、適切なタイミングで価値ある提案を継続的に行う仕組みづくりが欠かせません。
本記事では、深耕営業の基本的な考え方から、新規開拓営業との違い、深耕営業が重視される背景、具体的な実践ステップ、成果を出すための実践テクニック、陥りやすい失敗パターンまで、体系的に解説します。既存顧客からの売上拡大に課題を感じている営業責任者・担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
本記事のポイント
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深耕営業とは何ですか?
既存顧客に対して、追加提案やクロスセル・アップセルを通じて取引額や取引範囲を拡大していく営業手法です。新規開拓とは異なり、既に構築された信頼関係を土台に売上拡大を図る点が特徴です。
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深耕営業と新規開拓営業の違いは何ですか?
新規開拓営業はゼロから信頼関係を構築する必要がある一方、深耕営業は既存の取引実績や信頼関係を土台にできるため、成約までのリードタイムが短く、成功率も高い傾向にあります。
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深耕営業を成功させるコツは何ですか?
顧客の利用状況やニーズを定期的にヒアリングし、顧客ごとの課題に合わせた提案タイミングを見極めることが重要です。また、社内の顧客情報を一元管理し、部署を超えて連携できる体制づくりも欠かせません。
目次
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既存顧客の取引拡大を目指す営業手法
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深耕営業と新規開拓営業の違い
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深耕営業とアップセル・クロスセルの関係
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新規開拓の難易度上昇とリソース制約
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LTV(顧客生涯価値)重視への潮流
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サブスクリプション化・ストック型ビジネスの拡大
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製造業における深耕営業:定期メンテナンスから設備更新提案へ
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SaaS/IT業界における深耕営業:利用データを起点にしたアップセル
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金融・保険業界における深耕営業:ライフイベントを起点にした提案
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ステップ1:既存顧客の取引状況・利用実態を可視化する
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ステップ2:顧客ごとの潜在ニーズを仮説立てする
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ステップ3:適切なタイミングで追加提案を行う
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ステップ4:提案後のフォローと関係維持を継続する
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既存顧客だからと営業活動を後回しにしてしまう
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自社都合の提案ばかりで顧客ニーズとズレる
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属人化により担当者交代で関係が途切れる
深耕営業とは
まずは、深耕営業の基本的な定義と、混同されやすい類似概念との違いを整理します。
既存顧客の取引拡大を目指す営業手法
深耕営業とは、既に取引関係のある既存顧客に対して、追加の商品・サービス提案や利用範囲の拡大提案を行い、1社あたりの取引額を増やしていく営業手法です。「耕す」という言葉が示す通り、既存顧客という土壌をじっくりと耕し、時間をかけて取引を育てていくイメージが由来となっています。新規顧客をゼロから開拓する営業とは異なり、既に自社の商品やサービスを利用してもらっている顧客が対象となるため、信頼関係の構築というハードルをある程度クリアした状態からスタートできる点が最大の特徴です。
深耕営業と新規開拓営業の違い
新規開拓営業は、これまで接点のなかった見込み顧客にアプローチし、認知獲得から信頼構築、比較検討、成約に至るまでの長いプロセスを経る必要があります。一方、深耕営業では既に取引実績があるため、顧客の業務内容や課題感、意思決定プロセスなどをある程度把握した状態で提案活動に入れます。一般的に、新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持・拡大コストの5倍かかるといわれており(いわゆる「1:5の法則」)、限られた営業リソースを効率的に配分する観点からも、深耕営業は費用対効果の高い手法として位置づけられています。
深耕営業とアップセル・クロスセルの関係
深耕営業を実践する上での代表的な手法が、アップセルとクロスセルです。アップセルとは、顧客が現在利用している商品・サービスよりも上位グレードやより高機能なプランへの切り替えを提案する手法を指します。一方クロスセルとは、現在利用している商品・サービスに関連する別の商品・サービスを組み合わせて提案する手法です。深耕営業は、これらアップセル・クロスセルを含む、既存顧客との取引を多面的に拡大していく営業活動全体を指す、より広い概念だと理解しておくとよいでしょう。
深耕営業が今注目される背景
なぜ今、多くの企業が深耕営業に注力しているのでしょうか。背景にある3つの環境変化を解説します。
新規開拓の難易度上昇とリソース制約
労働人口の減少に伴う人手不足や、テレアポ・飛び込み営業への抵抗感の高まりなど、新規開拓を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。限られた営業人員で成果を上げるには、コストのかかる新規開拓だけに頼るのではなく、既存顧客との関係を深めて売上を積み上げる深耕営業を組み合わせることが、現実的な打ち手として重視されるようになっています。
LTV(顧客生涯価値)重視への潮流
近年、単発の受注額だけでなく、顧客が取引を継続する期間全体でどれだけの利益をもたらすかを示すLTV(顧客生涯価値)を重視する考え方が広がっています。LTVを高めるには、顧客の解約(チャーン)を防ぐだけでなく、取引期間中により多くの商品・サービスを利用してもらうことが重要であり、この観点からも深耕営業への注目が高まっています。
サブスクリプション化・ストック型ビジネスの拡大
SaaSをはじめとするサブスクリプション型のビジネスモデルが拡大する中で、契約を維持し続けてもらうことに加え、上位プランへのアップグレードやオプション機能の追加利用を促すことが、事業成長に直結するようになっています。ストック型ビジネスでは、新規契約の獲得と同じかそれ以上に、既存契約先への深耕営業がKPIとして重視される傾向が強まっています。
業種別に見る深耕営業の実 践例
ここでは、業種によって異なる深耕営業の具体的な実践イメージを、3つの業界を例に解説します。
製造業における深耕営業:定期メンテナンスから設備更新提案へ
製造業における深耕営業の典型例は、納品した設備や部品の定期メンテナンスをきっかけに、周辺機器の追加提案や上位モデルへの更新提案につなげるアプローチです。定期 点検で現場に足を運ぶ機会を活用し、稼働状況や老朽化の兆候を確認しながら、単なる修理対応にとどまらない次の提案の種を見つけていくことがポイントになります。既存の取引先である安心感があるからこそ、現場担当者から設備の使い勝手や不満点といった本音を引き出しやすいという特徴もあります。
SaaS/IT業界における深耕営業:利用データを起点にしたアップセル
SaaS・IT業界では、顧客のログイン頻度や機能利用状況といった利用データを分析し、活用が進んでいない顧客には活用支援を、逆に利用が活発な顧客には上位プランやオプション機能の提案を行うという、データドリブンな深耕営業が主流です。利用データという客観的な根拠があるため、感覚的な営業トークに頼らず、顧客自 身の利用実態に基づいた説得力のある提案がしやすい点が強みです。カスタマーサクセス部門と営業部門が利用データを共有し、連携して提案タイミングを判断する体制が成果を左右します。
金融・保険業界における深耕営業:ライフイベントを起点にした提案
金融・保険業界における深耕営業は、既存顧客の結婚・出産・住宅購入・退職といったライフイベントの変化を捉え、その時々に適した金融商品や保障内容の見直しを提案するスタイルが中心です。一度契約したら終わりではなく、顧客のライフステージの変化に合わせて定期的に接点を持ち続けることで、他社への乗り換えを防ぎながら、追加契約や契約内容の拡充につなげていきます。長期的な信頼関係の構築が成果に直結する業界であるため、短期的な数字を追うだけでなく、顧客との関係の質を重視した深耕営業が求められます。
深耕営業を実践する4つのステップ
ここでは、深耕営業を実際に進めていく際の基本的な4つのステップを解説します。
ステップ1:既存顧客の取引状況・利用実態を可視化する
深耕営業の第一歩は、既存顧客ごとの取引状況を正確に把握することです。現在契約している商品・サービスの種類、利用頻度、契約更新時期、過去の問い合わせ履歴などをCRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)に集約し、営業担当者が一目で状況を把握できる状態を整えます。特に、実際にどこまで使いこなされているか(利用実態)を可視化することで、追加提案の余地がある領域を見つけやすくなります。
ステップ2:顧客ごとの潜在ニーズを仮説立てする
可視化した情報をもとに、顧客がまだ気づいていない、あるいは言語化できていない潜在的な課題やニーズを仮説として立てます。例えば、特定の機能の利用率が低い顧客には別の使い方を提案できないか、事業拡大のニュースが出ている顧客には契約規模の拡大余地がないか、といった具合に、顧客の状況変化に着目して仮説を組み立てることがポイントです。
ステップ3:適切なタイミングで追加提案を行う
仮説をもとに、契約更新のタ イミングや決算期、新年度予算編成の時期など、顧客にとって意思決定しやすいタイミングを見極めて追加提案を行います。唐突な売り込みは既存の信頼関係を損なうリスクがあるため、日頃のコミュニケーションの延長線上で、顧客の課題解決につながる提案として自然に持ちかけることが重要です。
ステップ4:提案後のフォローと関係維持を継続する
提案が受け入れられた場合も見送られた場合も、その後のフォローを怠らないことが深耕営業を継続的な成果につなげる鍵になります。導入後は活用状況を定期的に確認し、見送られた提案については時期を改めて再提案できるよう、社内で情報を記録・共有しておくことが大切です。
深耕営業で成果を出すための実践テクニック
深耕営業の基本ステップを踏まえた上で、実際に成果を出すためのテクニックを3つ紹介します。
顧客データを一元管理しCRM/SFAを活用する
深耕営業は、担当者個人の記憶や感覚に頼っていると、異動や退職によって顧客との関係が途切れてしまうリスクがあります。CRM/SFAツールを活用して顧客情報・商談履歴・提案履歴を一元管理し、誰が担当しても顧客の状況を把握できる体制を整えることが、組織的に深耕営業を進める上での土台になります。
キーマン以外の関係者にも接点を広げる
既存取引の窓口担当者だけと関係を築いていると、その担当者が異動・退職した際に取引が途切れてしまうことがあります。決裁権を持つ上位者や、実際に商品・サービスを利用している現場の担当者など、顧客企業内の複数の関係者と接点を持つことで、組織的な信頼関係を構築し、深耕営業の機会を広げることができます。
定期的な情報提供で接触頻度を維持する
用件がないと連絡しない関係では、顧客の状況変化に気づく機会を逃してしまいます。業界動向や自社の新サービス情報、活用事例などを定期的に届けることで、売り込み色を抑えながら自然な接触頻度を維持でき、顧客側から相談を持ちかけられる関係性の構築にもつながります。
深耕営業を仕組み化する組織体制とアカウントプランニング
ここでは、個人の努力に頼らず組織的に深耕営業を進めるための体制づくりについて解説します。
営業とカスタマーサクセスの役割分担を明確にする
深耕営業を組織的に進める企業の多くは、契約後の顧客対応を担うカスタマーサクセス部門と、追加提案や契約拡大を担う営業部門とで役割を分担しています。カスタマーサクセスが日常的な顧客対応を通じて課題や利用状況を把握し、その情報を営業部門に連携することで、的確なタイミングでの深耕営業提案が可能になります。両部門の役割や情報連携のルールがあいまいなままだと、顧客への提案が重複したり、逆に誰も動かないままチャンスを逃したりするため、事前の役割定義が欠かせません。
重点顧客ごとにアカウントプランを作成する
アカウントプランとは、重点顧客ごとに、現在の取引状況、顧客内の関係者相関図、今後想定される追加提案の仮説、目標とする取引拡大額などをまとめた個社別の営業計画です。すべての既存顧客に均等にリソースを割くのではなく、取引拡大の余地が大きい重点顧客を選定してアカ ウントプランを作成することで、限られた営業リソースを効果的に配分できます。四半期や半期ごとにプランを見直し、進捗と課題を振り返る運用を組み込むことで、深耕営業を場当たり的な活動で終わらせない仕組みになります。
経営層を巻き込んだ深耕営業の目標設定
深耕営業は現場の営業担当者だけの取り組みにとどまりがちですが、既存顧客からの売上拡大を経営目標の一部として明確に位置づけ、経営層が重点顧客のアカウントプランをレビューする機会を設けることで、全社的な優先度が高まります。新規開拓の目標数値だけでなく、既存顧客の取引拡大率や解約防止率といった深耕営業に 関する指標を経営会議で扱うことで、部門を横断した協力体制も築きやすくなります。深耕営業を一過性の施策で終わらせないためには、こうした経営層の関与が重要な鍵を握ります。
深耕営業で陥りやすい失敗パターンと対策
最後に、深耕営業を進める上で陥りやすい3つの失敗パターンと、その対策を解説します。
既存顧客だからと営業活動を後回しにしてしまう
「既に契約しているから大丈夫」という思い込みから、既存顧客への訪問やフォローが後回しになり、気づいたときには競合に取引を奪われていた、というケースは少なくありません。新規開拓と同様に、既存顧客に対しても定期的な接点を持つことをルール化し、営業活動の優先順位から漏れない仕組みを作ることが対策になります。
自社都合の提案ばかりで顧客ニーズとズレる
売上目標の達成を優先するあまり、顧客の課題や状況を無視した自社都合の提案を繰り返すと、かえって顧客の信頼を損ない、既存の取引関係にまで悪影響を及ぼしかねません。提案の起点は常に「顧客の課題解決」に置き、顧客にとってのメリットを明確に示せる提案かどうかを、提案前に見直す習慣が重要です。
属人化により担当者交代で関係が途切れる
特定の営業担当者と顧客との個人的な関係だけに依存していると、担当者の異動や退職によって、それまで積み上げてきた深耕営業の成果が一気に失われてしまうリスクがあります。前述の通り、顧客情報をCRM/SFAで組織的に管理し、複数の関係者と接点を持つことで、属人化を防ぎ、安定的に深耕営業を継続できる体制を整えておくことが重要です。
まとめ:深耕営業は既存顧客との関係を資産に変える営業活動
深耕営業とは、既存顧客との信頼関係を土台に、追加提案やクロスセル・アップセルを通じて取引を拡大していく営業手法です。新規開拓に比べて成約までのハードルが低く、限られた営業リソースで効率的に売上を伸ばせるため、新規開拓の難易度上昇やLTV重視の潮流を背景に、多くのBtoB企業で注力領域となっています。
深耕営業を成果につなげるには、既存顧客だからと油断せず、取引状況の可視化、潜在ニーズの仮説立て、適切なタイミングでの提案、そして提案後のフォローという一連のプロセスを組織的に回していくことが欠かせません。CRM/SFAによる情報の一元管理や、キーマン以外の関係者との接点づくりも、属人化を防ぎ持続的な成果を生み出す上で重要なポイントです。
リベラルハーツでは、証券会社出身のディレクター陣が中心となり、新規顧客開拓だけでなく、既存顧客との関係を深めるインサイドセールス・オンラインセールス支援も行っています。「既存顧客からの売上拡大に課題を感じている」「深耕営業を仕組み化したいが自社にノウハウがない」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ株式会社リベラルハーツまでお気軽にご相談ください。
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