予材管理とは?目標を必ず達成する営業マネジメント手法を解説

最終更新日:2026.07.15
予材管理とは、目標の2倍に相当する営業の予定材料(予材)をあらかじめ仕込み、それを計画的にマネジメントすることで、どんなに悪条件が重なっても最低限の目標を必ず達成できる状態を作る営業マネジメント手法です。多くの営業組織では、月末や期末になって目標未達が判明してから慌てて対策を打つという後追いのマネジメントに陥りがちで、精神論やハッパをかけるだけの目標管理に限界を感じている経営者・営業マネージャーも少なくありません。
本記事では、予材管理を提唱した横山信弘氏と株式会社アタックス・セールス・アソシエイツの理論をもとに、予材管理の定義や「見込み」「仕掛り」「白地」という3つの構成要素、目標の2倍設定という考え方の背景、そして営業現場に導入する具体的な手順とよくある失敗まで整理・解説していきます。
これから予材管理を自社の営業組織に取り入れたいと考えている経営者や営業マネージャーはもちろん、目標達成のたびに一喜一憂するマネジメントから抜け出したいと考えている営業担当者にとっても、実践のヒントになる内容です。
本記事のポイント
-
予材管理とは簡単に言うと何?
目標の2倍の営業案件(予材)を常に確保しておくことで、想定外のキャンセルや失注が起きても最低限の目標を必ず達成できる状態を作る営業マネジメント手法です。
-
予材管理と予実管理は何が違うの?
予実管理は計画と実績の差異を事後的に分析する手法であるのに対し、予材管理は事前に目標の2倍の材料を仕込むことで、成功をあらかじめ確定させる点が大きく異なります。
-
どんな企業でも導入できる?
業界や企業規模を問わず導入できる手法とされており、提唱元のアタックス・セールス・アソシエイツはNTTドコモやソフトバンク、サントリーといった大企業から中小企業まで200社以上を支援してきた実績を持っています。
目次
-
目標の2倍の予材を仕込むという基本定義
-
提唱者・横山信弘氏とアタックス・セールス・アソシエイツ
-
「絶対達成」シリーズとの関係
-
見込み—受注確度の高い案件の管理
-
仕掛り—商談が進行中の案件の管理
-
白地—まだ見えていない潜在案件の掘り起こし
-
目標未達のリスクを事前に織り込む発想
-
予算管理・予実管理との違い
-
精神論に頼らない「絶対達成」の仕組み化
-
予材シートで案件を可視化する
-
白地を洗い出すブレインストーミング
-
予材会議で進捗を共有する
-
予材管理はどんな企業に向いているか
-
導入までにどれくらいの期間がかかるか
-
個人営業でも予材管理は使えるか
予材管理とは何か—定義と誕生の背景
ここでは、予材管理の基本的な定義と、この手法がどのような背景から生まれたのかを解説します。
目標の2倍の予材を仕込むという基本定義
予材管理における「予材」とは、将来の受注につながる可能性を持つ営業案件や見込み客を指す言葉です。予材管理は、この予材を目標数値の2倍にあたる量まであらかじめ仕込み、計画的にマネジメントすることで、想定外のキャンセルや失注が重なったとしても最低限の目標を必ず達成できる状態を作り出すマネジメント手法です。目標に対してぴったりの案件数しか用意しない従来型の営業管理とは異なり、あらかじめ余裕を織り込んでおくことで、目標達成を「結果」ではなく「事前に設計するもの」として扱う点が最大の特徴です。
提唱者・横山信弘氏とアタックス・セールス・アソシエイツ
予材管理は、株式会社アタックス・セールス・アソシエイツの代表取締役社長である横山信弘氏が体系的に整理し、仕組みとして構築した営業マネジメント理論です。横山氏は企業の現場に入り込んで目標を絶対達成させるコンサルタントとして知られ、15年間で3,000回以上のセミナー・講演を通じて予材管理の普及に取り組んできました。同社はこれまでにNTTドコモやソフトバンク、サントリーといった大企業から中小企業まで200社以上を支援しており、業種・規模を問わず再現性のある手法として実務に落とし込まれてきた点が信頼性の高さにつながっています。
「絶対達成」シリーズとの関係
横山信弘氏は「絶対達成」をキーワードにした書籍シリーズの著者としても知られており、予材管理はこの「絶対達成」という考え方を営業マネジメントの実務に落とし込むための具体的な仕組みという位置づけになります。目標を達成できるかどうかを運や偶然に委ねるのではなく、あらかじめ達成できる状態を作り込んでおくという思想が両者に共通しており、予材管理はその思想を「見込み・仕掛り・白地」という具体的な管理項目に分解したフレームワークだといえます。
予材管理を構成する3つの要素—見込み・仕掛り・白地
ここでは、予材管理の中核をなす「見込み」「仕掛り」「白地」という3つの要素について、それぞれ解説します。
見込み—受注確度の高い案件の管理
「見込み」は、既に具体的な商談が進んでおり、受注できる可能性が高いと判断できる案件を指します。予材管理においては、この見込み案件だけを積み上げて目標達成を目指すのではなく、見込みはあくまで予材全体の一部として位置づけ、後述する仕掛りや白地と組み合わせて目標の2倍という水準を確保することが求められます。見込み案件の精度を高く保つためには、受注確度の判断基準を営業担当者の主観に任せず、決裁者の関与度合いや予算確保の状況といった客観的な基準で管理することが重要です。
仕掛り—商談が進行中の案件の管理
「仕掛り」は、初回接 点は持てているものの、まだ受注に至る確度が定まっていない、商談が進行中の案件を指します。仕掛り案件は、営業担当者のフォロー次第で見込みに育つ可能性がある一方、放置すれば立ち消えになってしまうリスクも抱えているため、定期的な進捗確認とネクストアクションの明確化が欠かせません。予材管理では、この仕掛り案件をどれだけ計画的に見込みへ引き上げられるかが、目標達成の安定度を左右する重要な管理ポイントとして位置づけられています。
白地—まだ見えていない潜在案件の掘り起こし
「白地」は、まだアプローチすら始まっていない、これから開拓すべき潜在的な案件や顧客を指します。白地は3つの要素の中で最 も不確実性が高い一方、目標の2倍という予材の量を確保するうえで欠かせない土台となる部分でもあります。既存顧客の未取引部門への横展開や、休眠顧客の掘り起こし、新規リストの洗い出しなど、白地を具体的な行動計画に落とし込めるかどうかが、予材管理を形骸化させずに機能させるための分かれ目になります。
なぜ「目標の2倍」なのか—予材管理の理論的背景
ここでは、予材管理がなぜ目標の2倍という水準を求めるのか、その理論的な背景を解説します。
目標未達のリスクを事前に織り込む発想
営業活動には、顧客都合によるキャンセルや稟議の停滞、競合の逆転提案など、担当者の努力だけでは防ぎきれない不確実性が常につきまといます。予材管理では、こうした不確実性を「起こり得るもの」としてあらかじめ織り込み、目標ぴったりの案件数ではなく、その2倍の予材を確保しておくことで、一部の案件が想定通りに進まなくても最低限の目標を達成できる余裕を作ります。この発想の転換こそが、予材管理を単なる進捗管理ではなく「目標達成を設計する仕組み」たらしめている理論的な核心部分です。
予算管理・予実管理との違い
予算管理はコストの最適化や資源配分を年度単位で検討する手法であり、予実管理は立てた計画と実際の実績の差異を事後的に分析する手法です。これに対して予材管理は、売上の増加と営業基盤の構築そのものを目的とし、中長期的な視点で「事前の準備段階」において成功を確定させようとする点で、時間軸も焦点も異なります。3つの手法は対立するものではなく、予算管理・予実管理と予材管理を連携させることで、コスト最適化と売上増加、業務効率化を同時に進められるとされています。
精神論に頼らない「絶対達成」の仕組み化
多くの営業組織では、目標未達が見えてきた段階で「気合を入れろ」「もっと頑張れ」といった精神論に頼った鼓舞が行われがちですが、こうしたアプローチは一時的な効果はあっても再現性がありません。予材管理は、目標達成を担当者個人の気合や根性ではなく、見込み・仕掛り・白地という具体的な管理項目と、目標の2倍という定量的な基準に落とし込むことで、誰が担当しても再現できる仕組みへと変換しています。この仕組み化こそが、200社以上への導入実績と高い継続率を生んでいる要因だといえます。
予材管理を営業現場に導入する手順
ここでは、予材管理を実際の営業現場に導入する際の具体的な手順を解説します。
予材シートで案件を可視化する
予材管理を導入する第一歩は、担当者ごとに抱えている案件を「見込み」「仕掛り」「白地」の3区分に分類し、一覧化できる予材シートを用意することです。案件ごとに想定される受注時期や金額、次のアクションを記入できる項目を設けておくことで、担当者本人だけでなくマネージャーも一目で状況を把握できるようになります。既存のSFA・CRMツールに予材の3区分を反映させたビューを追加する形で運用すれば、新たなツール導入コスト をかけずに予材管理を始められる企業もあります。
白地を洗い出すブレインストーミング
予材シートを整備したら、次に取り組むべきは目標の2倍という水準を満たすために不足している白地の洗い出しです。担当者一人の記憶や勘に頼るのではなく、上司やチームメンバーを交えたブレインストーミングの場を設け、休眠顧客のリストや過去の失注案件、既存顧客の未取引部署などを棚卸しすることで、思いのほか多くの白地が見つかるケースが少なくありません。この段階でどれだけ具体的な行動計画にまで落とし込めるかが、その後の予材管理の実効性を大きく左右します。
予材会議で進捗を共有する
予材シートと白地の洗い出しが整ったら、定期的な予材会議を設け、各担当者の予材の状況とその後の進捗を共有する運用に移ります。会議では単に数字を報告させるだけでなく、白地を仕掛りに、仕掛りを見込みに引き上げるための具体的なネクストアクションを確認し合うことが重要です。予材会議を通じて組織全体で予材の状況を共有できるようになれば、特定の担当者だけが目標未達に苦しむのではなく、チームとして目標達成を支え合う体制を築きやすくなります。
予材会議の運営とマネジメントのポイント
ここでは、予材管理を継続的に機能させるための予材会議の運営方法と、マネジメント上のポイントを解説します。
予材会議の頻度と参加者設計
予材会議は、週次や隔週といった短いサイクルで実施することで、案件の状況変化を早期に把握しやすくなります。参加者は担当者とマネージャーを基本としつつ、必要に応じて上位のマネジメント層も同席させることで、白地の掘り起こしに必要なリソース確保や、部門をまたいだ協力体制の構築がスムーズになります。会議の頻度や参加者の範囲は組織の規模によって最適解が異なるため、まずは短いサイクルで試行し、運用しながら調整していく姿勢が現実的です。
「詰める」のではなく「支援する」姿勢
予材会議が「なぜ目標に届いていないのか」を問い詰める場になって しまうと、担当者は数字を実態以上に良く見せようとする心理が働き、予材シートの精度がかえって下がってしまいます。マネージャーには、進捗が芳しくない担当者に対して「何が障害になっているか」「どんな支援があれば前に進められるか」を一緒に考える姿勢が求められます。予材管理を機能させるカギは、管理の厳しさではなく、目標達成に向けたチームの支援体制をどれだけ丁寧に作れるかにあります。
数字だけでなく行動量を管理する
予材会議では、見込み・仕掛り・白地それぞれの案件数や金額といった結果指標だけでなく、白地を仕掛りに引き上げるためのアプローチ件数や商談設定 数といった行動量も合わせて確認することが重要です。結果指標だけを追ってしまうと、担当者が数字合わせのために予材の分類を甘くしてしまうリスクがありますが、行動量という先行指標を併せて管理することで、予材の質を保ちながら次の期の目標達成にもつながる土台を築くことができます。
予材管理導入でよくある失敗と注意点
ここでは、予材管理を導入する際に陥りやすい失敗のパターンと、その注意点を解説します。
白地の水増しで形骸化するケース
目標の2倍という水準を数字上だけ満たそうとするあまり、実現可能性の低い案件や、具体的なアプローチ計画のない見込み客まで白地として計上してしまうケースは、予材管理が最も形骸化しやすい失敗パターンです。白地はあくまで「具体的な行動によって仕掛りへ引き上げられる見込みがあるもの」でなければ意味がなく、水増しされた予材シートはマネジメントの判断材料としての価値を失ってしまいます。マネージャーは白地の質を定期的にチェックし、実態と乖離した数字が積み上がっていないかを確認する役割を担う必要があります。
マネージャーの負荷が増えすぎるケース
予材会議を頻繁に実施し、すべての担当者の予材を細かく管理しようとするあまり、マネージャー自身の業務負荷が過大になってしまうケースもよく見られる失敗です。特に導入初期は、予材シートの整備や白地の洗い出し支援に時間を取られやすく、マネージャーが本来担うべき戦略立案や重要商談への同行に手が回らなくなることがあります。組織の規模や体制に応じて会議の粒度や頻度を調整し、必要であれば予材管理の運用自体を段階的に定着させていく計画を立てることが重要です。
短期的な数字だけを追ってしまうケース
予材管理は本来、中長期的な視点で営業基盤そのものを強化していく手法ですが、導入初期には目先の見込み案件の積み上げにばかり意識が向き、白地の開拓という土台づくりが後回しになってしまうケースが少なくありません。白地への投資を怠ると、一時的に目標を達成できても、次の期以降に予材が枯渇し、再び目標未達に苦しむ悪循環に陥るリスクがあります。予材管理を長期的に機能させるためには、短期の見込み案件の追求と、中長期を見据えた白地への投資を並行して進めるバランス感覚が欠かせません。
予材管理に関するよくある質問
ここでは、予材管理の導入を検討する際によく寄せられる質問について解説します。
予材管理はどんな企業に向いているか
予材管理は特定の業界 や商材に限定された手法ではなく、法人営業を行う企業であれば業種・規模を問わず導入できる手法とされています。実際にアタックス・セールス・アソシエイツの支援実績は、NTTドコモやソフトバンク、サントリーといった大企業から中小企業まで幅広く、200社以上に及んでいます。特に、目標未達が続いている、あるいは特定の担当者の頑張りに業績が左右されやすい属人的な営業組織ほど、予材管理を導入することで数字の安定度が向上しやすい傾向があります。
導入までにどれくらいの期間がかかるか
予材シートの整備や予材会議の枠組みづくり自体は、数週間程度あれば形にすることができますが、予材管理が組織文化として定着し、担当者が自発的に白地を洗い出すようになるまでには、一般的に数か月から半年程度の運用期間が必要とされています。アタックス・セールス・アソシエイツの支援先では、コンサルティング支援を卒業した後も70%以上の企業が3年連続で目標達成を継続しているというデータもあり、定着までの期間を焦らず見込んでおくことが長期的な成功につながります。
個人営業でも予材管理は使えるか
予材管理はもともと組織全体でのマネジメント手法として体系化されていますが、考え方自体は個人の営業活動にも応用可能です。自分が担当する目標の2倍にあたる案件を見込み・仕掛り・白地に分類して管理し、定期的に白地を掘り起こす時間を確保するだけでも、目標達成の安定度は大きく変わってきます。ただし、個人で運用する場合は「詰める」役割を担う第三者がいないため、白地の水増しなど自己都合の判断に陥らないよう、定期的に上司や同僚に予材シートを共有してチェックしてもらう工夫が有効です。
まとめ:予材管理で目標達成を「結果」ではなく「事前設計」に変える
予材管理は、目標の2倍にあたる予材を「見込み」「仕掛り」「白地」の3区分で計画的にマネジメントすることで、想定外の失注やキャンセルが重なっても最低限の目標を必ず達成できる状態を作る営業マネジメント手法です。横山信弘氏とアタックス・セールス・アソシエイツが200社以上への支援を通じて体系化してきたこの手法は、精神論に頼らず、誰が担当しても再現できる仕組みとして営業組織に定着させられる点が大きな強みです。
一方で、白地の水増しによる形骸化や、マネージャーへの負荷集中、短期的な数字追求への偏りといった落とし穴も存在するため、予材会議の運営方法や参加者設計を丁寧に設計し、「詰める」のではなく「支援する」マネジメントを心がけることが定着の鍵になります。営業代行やインサイドセールス代行と連携している場合は、委託先にも白地の考え方を共有しておくことで、新規開拓のパイプライン全体を予材管理の枠組みに組み込みやすくなります。
リベラルハーツでは、予材管理をはじめとする営業マネジメント手法の導入支援から、ターゲット選定、営業戦略の設計、テレアポ・訪問営業によるアプローチ、商談獲得、営業改善まで一貫して支援しています。目標達成を運任せにせず、仕組みとして再現できる営業体制を築きたい企業は、ぜひ一度ご相談ください。
おすすめ記事











%20(300%20x%20400%20px).png)
